明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

商と余りをひっくり返す

a,b,n,x,yを正の整数、x,yはnと互いに素であるとします

nの倍数をaで割った商がx、余りがy

nの倍数をbで割った商がy、余りがxになるとき

(ab-1)がnの倍数になることに気づきました

 

例えば

11を4で割った商は2、余りは3

11を3で割った商は3、余りは2で

(4×3-1)は11なので、11の倍数になっています

 

証明します

nの倍数をaで割った商がx、余りがy

nの倍数をbで割った商がy、余りがx

を式にすると

ax+y=0(mod n)

by+x=0(mod n)

となります

y=-ax(mod n)をby+x=0(mod n)に代入すると

b(-ax)+x=0(mod n)

つまり

abx-x=0(mod n)

となるので両辺をxで割ると

ab-1=0(mod n)

になり、(ab-1)がnの倍数になることが示せました

 

また

ax+y=0(mod n)

by+x=0(mod n)

ならば

ax+y=by+x(mod n)

なのでこれを式変形すると

(a-1)x=(b-1)y(mod n)

となり、(b-1)がnと互いに素ならば

(a-1)/(b-1)=y/x(mod n)

が成立します

 

11を2から10の数で割った、商と余りを並べてみます

11÷2=5あまり1

11÷3=3あまり2

11÷4=2あまり3

11÷5=2あまり1

11÷6=1あまり5

11÷7=1あまり4

11÷8=1あまり3

11÷9=1あまり2

11÷10=1あまり1

 

これをab-1=0(mod n)となるような組に並べ替えると

11÷2=5あまり1  11÷6=1あまり5

11÷3=3あまり2  11÷4=2あまり3

11÷5=2あまり1  11÷9=1あまり2

11÷7=1あまり4  11÷8=1あまり3

11÷10=1あまり1  11÷10=1あまり1

となり、7,8の組以外は商と余りがひっくり返ったものになっています

 

また

2,6の組の商と余りに1,5

3,4の組の商と余りに2,3

と、割る数より1小さい数の組が商と余りになっているものがあります

これは上に書いた

(a-1)/(b-1)=y/x(mod n)

が成立しているからです

 

5,9の組の商と余りが1,2 なのは

(5-1)/(9-1)=4/8=1/2

という分数の約分に対応しています

5で割った商が8、余りが4になるような数は

44(=8×5+4)と11より大きいので

(5-1)/(9-1)が約分でき分母と分子が小さくなるから、11でも5,9で割った商と余りがひっくり返ったものになると言えます

 

7,8の組の商と余りはひっくり返ったものになっていませんが

55÷7=7あまり6  55÷8=6あまり7

と、11の倍数の55では商と余りは対応し、7,8より1小さい6,7 が商と余りになっています

 

11÷7=1あまり4  11÷8=1あまり3

22÷7=3あまり1  22÷8=2あまり6

33÷7=4あまり5  33÷8=4あまり1

44÷7=6あまり2  44÷8=5あまり4

55÷7=7あまり6  55÷8=6あまり7

と11の倍数を割ったものを並べると

11の倍数を7で割ったときの商と余りをひっくり返したものが

他の11の倍数を8で割ったときの商と余りになっていることが分かります

 

商と余りについての素朴な内容ですが、楽しいなと思います

以上です お読みいただきありがとうございました!

 

2020/7/28追記

定義に誤りがあったので修正しました 主張自体は変わっていません