pを素数とします。
mod p-1 の演算[a]を、
a^x+a^y=a^z (mod p) のとき、
x[a]y=z (mod p-1) と定義します。
aがpと互いに素のとき a^x=0 (mod p) となるxは存在しませんが、
演算[a]においてa^x=0 (mod p) となるxに対応する数をrと書くことにします。
具体例をあげると、
a^x+0=a^x (mod p) のとき x[a]r=x (mod p-1)
a^x+a^y=0 (mod p) のとき x[a]y=r (mod p-1)
と書くことにします。
以下、aを mod p の乗法群(掛け算に関しての群)の生成元とします。
mod p-1 の集合 {0,1,……,p-2,r}、つまり mod p-1 での整数にrを加えた集合は、演算[a]に関して群になります。
aが乗法群の生成元(原始根とも言います)なので、
mod p の集合{0,1,2,3,……,p-1} は{0,a^0,a^1,a^2,……,a^(p-2)} と書け、
{0,a^0,a^1,a^2,……,a^(p-2)}(mod p) の足し算の群と、
{r,0,1,……,p-2}(mod p-1) の演算[a]の群が同一視できるからです。
mod p-1 における足し算は、mod p の掛け算と同一視できます。
mod p の原始根の位数は p-1 なので
s+t=u(mod p-1) ならば、
a^s×a^t=a^(s+t)=a^u(mod p) となるからです。
rの足し算を、r+x=r(mod p-1) と定義します。
rにどんな数を足しても、rのままと言うことです。
0にどんな数を掛けても、0のまま変わらないことに対応しています。
y=2^xでyを0に近づけるには、xを-∞(負の無限大)へ近づければいいので、
a^x=0 (mod p) のxに対応する数rは、-∞のようなものだと解釈すれば良いと思います。
-∞に有限の値を足しても-∞のままなように、
rに何を足しても変わらないとすれば、自然だと思いました。
r+x=r(mod p-1) を mod p での掛け算で考えると、
a^(r+x)=a^r×a^x=0×a^x=0=a^r(mod p) となります。
mod p-1 の集合{0,1,……,p-2,r}は、演算[a]を加法、+を乗法とする体になります。
mod p-1 の演算[a]は mod p における演算+に対応し、
mod p-1 の演算+は mod p における演算×に対応するので、体になるのは当然と言えば当然です。
この体を考えることで、嬉しいことがあります。
掛け算の時計のある性質と似たものが、足し算の時計でも言えるようになります。
掛け算の時計については「mod p における乗法群を時計のように並べる」で書きました。
掛け算の時計でn角形状にある数の和が0になるように、
足し算の時計でn角形状にある数を演算[a]で計算すると、rになります。
mod 6 で見てみます。
0
5 1
6
4 2
3
が mod 6 の足し算の時計です。
3が mod 7 の原始根なので、演算[3]を考えます。
3^0+3^3=1+6=0(mod 7) なので 0[3]3=r(mod 6)
3^0+3^2+3^4=1+2+4=0(mod 7) なので 0[3]2[3]4=r(mod 6)
となり、
2角形状でも、3角形状でも、計算するとrになります。
虚部を mod 2π で考えた複素数の集合に、rを加えたものも、
演算[e]を加法、+を乗法とする体になることに気付きました。
eは自然対数の底です。
e^2πi=1なので、数が重複するのを解消するため、虚部を mod 2π にしました。
以上です。お読みいただきありがとうございました!