明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

mod pのパスカルの三角形で全ての整数が一度ずつ現れる行があるものの証明

 以前の記事、『mod pのパスカルの三角形で、全ての整数が一度ずつ現れる行のあるもの』で書いた内容を証明します

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

pを奇素数、aをpと互いに素な整数とします

1行目にa,-aという2つの数を隣り合わせて配置したパスカルの三角形を考えるとき

(p-1)行目をmod pで考えると(つまりpで割った余りを考えると)、0からp-1までのp個の数が一度ずつ現れることを示します

 

1行目の左側にa、右側に-aが配置されているとします

1行目がもしaだけならば、(p-1)行目には通常のパスカルの三角形の(pー1)行目をa倍したものが左詰めに並びます

同様に、1行目が-aだけならば、(p-1)行目には通常のパスカルの三角形の(pー1)行目を-a倍したものが右詰めに並びます


通常のパスカルの三角形の、(p-1)行目の左からn個目は(p-2)C(n-1)と表せます。(Cは組み合わせのCです)

また、1行目がaだけの場合と1行目が-aだけの場合を足し合わせると、1行目がa,-aのものになるので

1行目がa,-aのパスカルの三角形の(p-1)行目の左からn個目は

a×(p-2)C(n-1)-a×(p-2)C(n-2)

と表せます

なので、これのnが1以上p以下の場合をmod pで考えたとき、0からpまでの数が一度ずつ現れることを示せばよいです

 

a×(p-2)C(n-1)-a×(p-2)C(n-2)

をmod pで考えると

a( (-2)C(n-1)-(-2)C(n-2) ) (mod p)

となります

(-2)C(n-1)=(-2)×(-3)×…×(-n)/(n-1)!
=(-1)^(n-1)×n

(-2)C(n-2)=(-2)×(-3)×…×(-n+1)/(n-2)!
=(-1)^(n-2)×(n-1)

なので

a( (-2)C(n-1)-(-2)C(n-2) )
=a( (-1)^(n-1)×n-(-1)^(n-2)×(n-1) )
=a( (-1)^(n-1)×n+(-1)^(n-1)×(n-1) )
=a(-1)^(n-1) × (n+(n-1) )
=a(-1)^(n-1) × (2n-1)

となり

1行目がa,-aのパスカルの三角形の(p-1)行目の左からn個目は、
mod pでa(-1)^(n-1) × (2n-1)になると分かりました

 

nが1以上p以下のとき、a(-1)^(n-1) × (2n-1) (mod p)が0から(p-1)までの値を一度ずつとると証明するには

x,yを1以上p以下の整数でx≠yとするとき

a( (-1)^(x-1)×(2x-1)-(-1)^(y-1)×(2y-1)  )

がmod pで0にならないと示せればよいです

 

x,yの偶奇が一致するとき、(-1)^(x-1)=(-1)^(y-1)なので

a( (-1)^(x-1)×(2x-1)-(-1)^(y-1)×(2y-1)  )
=a(-1)^(x-1) × ( (2x-1)ー(2y-1)  )
=a(-1)^(x-1) × 2(xーy)

となり、x≠y (mod p)なのでこれはmod pで0になりません

 

x,yの偶奇が一致しないとき、-(-1)^(x-1)=(-1)^(y-1)なので

a( (-1)^(x-1)×(2x-1)-(-1)^(y-1)×(2y-1)  )
=a(-1)^(x-1) × ( (2x-1)+(2y-1)  )
=a(-1)^(x-1) × 2(x+y-1) 

となり

x,yが1以上p以下の整数で偶奇が異なることから、(x+y-1)はpの倍数にならず、これもmod pで0になりません

よって、(p-1)行目をmod pで考えると、0からp-1までのp個の数が一度ずつ現れることが証明できました。

 

ちなみに

『打ち消しあうパスカルの三角形とカタラン数』で考えたパスカルの三角形は今回考えたもののa=-1のバージョンなので、
このパスカルの三角形の(p-1)行目をmod pで考えても、0からp-1までのp個の数が一度ずつ現れることが分かります

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

以上です 結構前に考えた予想ですが、証明できてよかったです

お読みいただきありがとうございました!