以前の記事、『mod pのパスカルの三角形で、全ての整数が一度ずつ現れる行のあるもの』で書いた内容を証明します
pを奇素数、aをpと互いに素な整数とします
1行目にa,-aという2つの数を隣り合わせて配置したパスカルの三角形を考えるとき
(p-1)行目をmod pで考えると(つまりpで割った余りを考えると)、0からp-1までのp個の数が一度ずつ現れることを示します
1行目の左側にa、右側に-aが配置されているとします
1行目がもしaだけならば、(p-1)行目には通常のパスカルの三角形の(pー1)行目をa倍したものが左詰めに並びます
同様に、1行目が-aだけならば、(p-1)行目には通常のパスカルの三角形の(pー1)行目を-a倍したものが右詰めに並びます
通常のパスカルの三角形の、(p-1)行目の左からn個目は(p-2)C(n-1)と表せます。(Cは組み合わせのCです)
また、1行目がaだけの場合と1行目が-aだけの場合を足し合わせると、1行目がa,-aのものになるので
1行目がa,-aのパスカルの三角形の(p-1)行目の左からn個目は
a×(p-2)C(n-1)-a×(p-2)C(n-2)
と表せます
なので、これのnが1以上p以下の場合をmod pで考えたとき、0からpまでの数が一度ずつ現れることを示せばよいです
a×(p-2)C(n-1)-a×(p-2)C(n-2)
をmod pで考えると
a( (-2)C(n-1)-(-2)C(n-2) ) (mod p)
となります
(-2)C(n-1)=(-2)×(-3)×…×(-n)/(n-1)!
=(-1)^(n-1)×n
(-2)C(n-2)=(-2)×(-3)×…×(-n+1)/(n-2)!
=(-1)^(n-2)×(n-1)
なので
a( (-2)C(n-1)-(-2)C(n-2) )
=a( (-1)^(n-1)×n-(-1)^(n-2)×(n-1) )
=a( (-1)^(n-1)×n+(-1)^(n-1)×(n-1) )
=a(-1)^(n-1) × (n+(n-1) )
=a(-1)^(n-1) × (2n-1)
となり
1行目がa,-aのパスカルの三角形の(p-1)行目の左からn個目は、
mod pでa(-1)^(n-1) × (2n-1)になると分かりました
nが1以上p以下のとき、a(-1)^(n-1) × (2n-1) (mod p)が0から(p-1)までの値を一度ずつとると証明するには
x,yを1以上p以下の整数でx≠yとするとき
a( (-1)^(x-1)×(2x-1)-(-1)^(y-1)×(2y-1) )
がmod pで0にならないと示せればよいです
x,yの偶奇が一致するとき、(-1)^(x-1)=(-1)^(y-1)なので
a( (-1)^(x-1)×(2x-1)-(-1)^(y-1)×(2y-1) )
=a(-1)^(x-1) × ( (2x-1)ー(2y-1) )
=a(-1)^(x-1) × 2(xーy)
となり、x≠y (mod p)なのでこれはmod pで0になりません
x,yの偶奇が一致しないとき、-(-1)^(x-1)=(-1)^(y-1)なので
a( (-1)^(x-1)×(2x-1)-(-1)^(y-1)×(2y-1) )
=a(-1)^(x-1) × ( (2x-1)+(2y-1) )
=a(-1)^(x-1) × 2(x+y-1)
となり
x,yが1以上p以下の整数で偶奇が異なることから、(x+y-1)はpの倍数にならず、これもmod pで0になりません
よって、(p-1)行目をmod pで考えると、0からp-1までのp個の数が一度ずつ現れることが証明できました。
ちなみに
『打ち消しあうパスカルの三角形とカタラン数』で考えたパスカルの三角形は今回考えたもののa=-1のバージョンなので、
このパスカルの三角形の(p-1)行目をmod pで考えても、0からp-1までのp個の数が一度ずつ現れることが分かります
以上です 結構前に考えた予想ですが、証明できてよかったです
お読みいただきありがとうございました!