a,bを実数とします。
aまたはbiと書ける複素数(つまり実数または純虚数)で、aと-a、biと-biを同一視した集合Gは、
加法⊕をa⊕b=√(a^2+b^2)
乗法を通常の掛け算とすると体になります。
■集合Gが体であることの確認
まず、aと-aを同一視しても矛盾しないことを確認します。
a⊕b=√(a^2+b^2)
(-a)⊕b=√( (-a)^2+b^2 )=√(a^2+b^2)
なので、 a⊕b=(-a)⊕b
(-a)×b=-ab=ab=a×b (abと-abも同一視されるので)
よってaと-aを同一視しても矛盾しません。
a,bが実数及び純虚数ならa⊕bも実数及び純虚数になるので、加法⊕で閉じています。
通常の掛け算でも閉じています。
加法の単位元は0、乗法の単位元は1です。
a⊕0=√(a^2+0^2)=a
a×1=a
aの加法の逆元はaiです。
a⊕(ai)=√(a^2+(ai)^2)=√(a^2-a^2)=0
加法の結合法則は、
(a⊕b)⊕c=√(a^2+b^2)⊕c=√(a^2+b^2+c^2)
a⊕(b⊕c)=a⊕√(b^2+c^2)=√(a^2+b^2+c^2)
なので成立します。
aの乗法の逆元は1/aです。
a×1/a=1
biの乗法の逆元はi/bです。
bi×i/b=i×i=-1=1 (aと-aを同一視してるので、1と-1も同一視されます。)
分配法則も、
a×(b⊕c)=a×√(b^2+c^2)=√( (ab)^2+(ac)^2 )
ab⊕ac=√( (ab)^2+(ac)^2 )
なので成立します。
■集合Gが体であることの確認終わり
正の整数m,nでm⊕nと書けない正の整数を、加法的素数とします。
ピタゴラス数の性質より、
4n+1型素数(ピタゴラス素数)を素因数に持たない数が加法的素数です。
4n+1型素数は、乗法的には素数ですが、加法的素数にはなりません。
2や4n-1型素数は、乗法的にも加法的にも素数です。
2や4n-1型素数の積は、乗法的には合成数ですが、加法的素数です。
集合Gは加法と乗法両方に素数がある体だと思えて、面白いです。
加法⊕での素因数分解を一意的にするには、
乗法で素因数分解したあと、4n+1型素数の因数をそれぞれ加法⊕で(加法的素数だけになるまで)分解して、分配法則を使えばいいです。
ここでの一意性は、通常の素因数分解と同じく、素因数の順番を気にしません。
■例として130を加法⊕で素因数分解します。(今後は加法的素因数分解と言うことにします。)
130=2×5×13 ※乗法で素因数分解
=2×(3⊕4)×(5⊕12) ※5^2=3^2+4^2、13^2=5^2+12^2
=2×(3⊕4)×(3⊕4⊕12) ※4n+1型素数の5があるので加法的に分解
=2×(3(3⊕4⊕12)⊕4(3⊕4⊕12)) ※分配法則
=2×( (9⊕12⊕36)⊕(12⊕16⊕48) ) ※分配法則
=18⊕24⊕72⊕24⊕32⊕96 ※分配法則
■例終わり
■この加法的素因数分解が一意的であることの確認
乗法で素因数分解することと、分配法則が一意的なのは自明です。
4n+1型素数pに対して、正の整数a,bでp^2=a^2+b^2 と一意的に表せることを示せばよいです。
ピタゴラス数の公式より、
p^2=a^2+b^2 ならば互いに素な正の整数m,nで、
p=m^2+n^2, a=m^2-n^2, b=2mn と書けるので、
p=m^2+n^2 が一意的なら、a,bも一意的になります。
フェルマーの二平方和定理より、
4n+1型素数pは正の整数m,nで p=m^2+n^2 と一意的に表せます。
よって、4n+1型素数pに対して正の整数a,bでp^2=a^2+b^2 と一意的に表せるので、
p=a⊕b は一意的な分解です。
■確認終わり
加法的素因数分解の項数を考えると、楽しそうです。
Nの加法的素因数分解の項数をf(N)とします。
例えば、 5=3⊕4 なので、 f(5)=2
13=5⊕12=3⊕4⊕12 なので、 f(13)=3
97=72⊕65=72⊕5×13=72⊕(3⊕4)×(3⊕4⊕12) なので、f(97)=1+2×3=7
分配法則より f(M×N)=f(M)×f(N) なので、
4n+1型素数pのf(p)さえ分かれば、全ての正の整数についても分かります。
pが4n+1型の素数のときf(p)が必ず通常の素数になるのであれば、
f(N)の素因数の個数とNの4n+1型素数の因数が一致することになって綺麗だな、と思いましたが、
433がf(433)=9で、反例になっていました。
■f(433)=9であることの確認
433=12^2+17^2 なので、
433=(17^2-12^2)⊕2×12×17
=5×29⊕24×17
=(2⊕3)×(12⊕16⊕21)⊕24×(8⊕9⊕12)
よって、f(433)=2×3+1×3=9
■確認終わり
この加法的素因数分解で、何か面白いものが見つかったらまた投稿します。
以上です。お読みいただきありがとうございました!
■追記
pを素数とします。
f(p)が偶数になるのはp=5のときだけだと気付きました。
他の素数は、ピタゴラス数の性質から分解に5の倍数が出て来るので奇数になります。
つまり、f(N)が偶数ならNは5の倍数だと分かります。
もっと言えば、
Nが5^mの倍数であることとf(N)が2^mの倍数であることが同値になり、面白いなと思いました。