以前の記事「k-フィボナッチ数列に対応するパスカルの三角形」に書いたことを証明しました。
松田修、津山工業高等専門学校数学クラブ著「11からはじまる数学(東京図書)」
に書かれている、パスカルの三角形やフィボナッチ数列を変形したものについても考えていて、参考にしています。
数列、つまり直線に並ぶ数を母関数にするように、
平面に並ぶ数を、xとy、2つの変数で級数にしたものを、
2変数母関数と呼ぶことにします。
まずパスカルの三角形を斜めに足すとフィボナッチ数列になることの証明を見ます。
フィボナッチ数列の母関数は 1/(1-x-x^2) です。
パスカルの三角形を左詰めにした
0行目 1
1行目 1,1
2行目 1,2,1
3行目 1,3,3,1
4行目 1,4,6,4,1
5行目 1,5,10,10,5,1
……
を考え、一番左の列を0列目とし、
n行m列目をx^n×y^mの係数とすると、
パスカルの三角形の2変数母関数は
1+(x+xy)+(x+xy)^2+(x+xy)^3+(x+xy)^4+……
=1/(1-(x+xy))
=1/(1-x-xy)
と書けます。
y=xとすれば、x^nの係数がパスカルの三角形を斜めに足したものになります。
1/(1-x-xy)にy=xを代入すると 1/(1-x-x^2) つまりフィボナッチ数列の母関数になるので、
パスカルの三角形を斜めに足すとフィボナッチ数列になることが証明できました。
k-フィボナッチ数列f[n]を、前のk個の数を足して次の数を作る数列と定義します。
f[n-k]+f[n-k+1]+f[n-k+2]+…+f[n-1]=f[n]
初期値は
f[-k+2]=f[-k+3]=…=f[-1]=f[0]=0
f[1]=1
とします。
f[n]の母関数をf(x)とおくと、
f(x)-f(x)x-f(x)x^2-…-f(x)x^k=1 なので、
f(x)=1/(1-x-x^2-…-x^k) です。
n行目が (1+y+y^2+…+y^(k-1))^n の係数になるような、パスカルの三角形のようなものをk-パスカルの三角形とします。
k-パスカルの三角形の2変数母関数は
1+(x+xy+xy^2+…+xy^(k-1))+(x+xy+xy^2+…+xy^(k-1))^2+……
=1/(1-(x+xy+xy^2+…+xy^(k-1)))
=1/(1-x-xy-xy^2-…-xy^(k-1))
と書けます。
y=xとすると、1/(1-x-x^2-x^3-…-x^k)となり、
k-フィボナッチ数列の母関数になるので、
k-パスカルの三角形を斜めに足すと、k-フィボナッチ数列になることが示せました。
と数が並んでいたとき、D=A+B+C となるようなパスカルの三角形を考えると
2変数母関数は1/(1-x-xy-x^2×y) です。
y=xとすると1/(1-x-x^2-x^3) なので、
斜めに足すと3-フィボナッチ数列になると証明できました。
同じ考え方で、
となっているとき、E=A+B+C+D となるようなパスカルの三角形を、
斜めに足せば4-フィボナッチ数列になること等も証明できます。
ずっと前に考えていた予想が、綺麗に証明できて嬉しいです。
以上です。お読みいただきありがとうございました。