明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

アイゼンシュタイン三角形と複素平面上のかけ算

120度の角をもつ、三辺が整数の三角形をアイゼンシュタイン三角形と言います

この記事では

アイゼンシュタイン三角形を120度整数三角形

60度の角をもつ三辺が整数の三角形を60度整数三角形

と呼ぶことにします

 

i=√(-1)とし、ω=(1+(√3)i)/2とします

ωは6乗して初めて1になる数です

ω^6=1

また、1ーω+ω^2=0が成立します

なぜなら、ω^6=1よりω^3=-1なので

1ーω+ω^2=1+ω^2+ω^4

となり

(1+ω^2+ω^4)×ω^2=1+ω^2+ω^4

と、1でない数ω^2を掛けても(1+ω^2+ω^4)が値を変えないことから

1+ω^2+ω^4が0であること

つまり1-ω+ω^2=0が示せるからです

 

さて、a,bを整数とするとき

(a+bω)を2乗することで、120度整数三角形の二辺や60度整数三角形の二辺が表れることに気付きました

 

(a+bω)^2=c+dω=e+fω^2

とするとき

c,dは120度整数三角形の120度の角をつくる二辺の長さに、

e,fは60度整数三角形の60度の角をつくる二辺の長さになります

ただし、c,dのどちらか片方が負の数のときは

|c|,|d|(c,dの絶対値)が60度整数三角形の60度の角をつくる二辺の長さになり、

e,fのどちらか片方が負の数のときも同様に

|e|,|f|(e,fの絶対値)が120度整数三角形の120度の角をつくる二辺の長さになります

 

証明します

a+bω=(a+b/2)+(√3)b/2×iより、

(a+bω)という複素数の絶対値が√(a^2+ab+b^2)

だと分かるので

(a+bω)^2の絶対値は(a^2+ab+b^2)となり、整数です

(a+bω)^2

=a^2+2abω+b^2×ω^2

=(a^2-b^2)+(2ab+b^2)ω

(1-ω+ω^2=0より、-b^2+b^2×ω-b^2×ω^2(=0)を代入しました)

なので、c(=a^2-b^2)とd(=2ab+b^2)も整数です

よって、c,dが正の数であれば、

複素平面で原点,c,c+dωを頂点とする三角形は、角cが120度の120度整数三角形になると分かります。

c,dの片方が負の数であれば60度整数三角形に、

c,dの両方が負の数であれば120度整数三角形になります。

また、

(a+bω)^2

=a^2+2abω+b^2×ω^2

=(a^2+2ab)+(b^2+2ab)ω^2

(2ab-2ab×ω+2ab×ω^2(=0)を代入しました)

なので、e(=a^2+2ab)とf(=b^2+2ab)も整数だと分かり

e,fが正の数であれば、

複素平面で原点,e,e+fω^2を頂点とする三角形は、角eが60度の60度整数三角形になると分かります。

e,fの片方が負の数であれば120度整数三角形に、

e,fの両方が負の数であれば60度整数三角形になります。

 

ちなみに

複素平面で原点,g,g+hωを頂点とする三角形が角gが120度の120度整数三角形で

同様に原点,j,j+kωを頂点とする三角形も角jが120度の120度整数三角形のとき

(g+hω)×(j+kω)=m+nωとすると

(m,nが正の数ならば)原点,m,m+nωを頂点とする三角形もまた、角mが120度の120度整数三角形になります

 

以前の記事「ピタゴラス数と複素平面」で、ピタゴラス数(つまり90度の整数三角形)で成り立つと分かったことが、今回120度や60度の整数三角形でも同様に成立すると分かり、とてもおもしろい!!と思いました

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

以上です! お読み頂きありがとうございました!!