明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

パスカルの三角形やカタラン数での母関数の関係 その2

前回の記事の続きです。

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

この記事では、パスカルの三角形の1行目の母関数をn次多項式に一般化したものを考えます。

 

n次多項式F(x)の、m次の係数を{m}と置きます。

F(x)={0}+{1}x+{2}x^2+……+{n}x^n

 

k行目の母関数がF(x)^kになるような図Aを考えます。

図A

0行目 1

1行目 {0},  {1},  {2},  ……,   {n}

2行目 {0}^2, 2{0}{1}, 2{0}{2}+{1}^2, ……, {n}^2

3行目 {0}^3,  3{0}^2 {1},  3{0}^2 {2}+3{0}{1}^2, ……, {n}^3

……

 

{0}={1}=1,それ以外のF(x)の係数を0にすれば、パスカルの三角形になるので、

パスカルの三角形の一般化と思えます。

 

 

左からs+1番目をs列目と呼ぶことにし、

r行s列目の数を[r,s]と書くことにします。

図Aのt行u列目の数[t,u]を t-bu行u列目 へ移動させた図を図Bとし、

図Bのv行目の母関数を〈v〉とするとき、

〈v〉×C(x)^a=〈v+a〉

となるような関数C(x)

つまり、

図Bの任意の行の母関数にa乗を掛けると、a行下の母関数になるようなC(x)は

C(x)={0}+{1}(xC(x)^b)+{2}(xC(x)^b)^2+……+{n}(xC(x)^b)^n

を満たすことに気付きました。

F(x)のxをxC(x)^bに置き換えたものがC(x)に等しくなるので、

C(x)=F(xC(x)^b)

とも書けます。

 

 

 

証明します。

 

図Aにおいては、

r-1行目の母関数にF(x)を掛けるとr行目の母関数になるので

[r,s]={0}[r-1,s]+{1}[r-1,s-1]+{2}[r-1,s-2]+……+{n}[r-1,s-n]

となります。

見やすいようにr=0,s=0で考えると

[0,0]={0}[-1,0]+{1}[-1,-1]+{2}[-1,-2]+……+{n}[-1,-n]

です。

 

 

図Bにおいては、図Aの[t,u]を t-bu行u列目へ移動したものなので

[r,s]={0}[r-1,s]+{1}[r-1+b,s-1]+{2}[r-1+2b,s-2]+……+{n}[r-1+nb,s-n]

だと分かります。(ここでの[r,s]は、図Bでのr行s列目の数)

r=0,s=0で考えると

[0,0]={0}[-1,0]+{1}[-1+b,-1]+{2}[-1+2b,-2]+……+{n}[-1+nb,-n]

です。

図Bのk行目の母関数〈k〉が

〈k〉=[k,0] +[k,1]x +[k,2]x^2+[k,3]x^3+……

であることを踏まえると、

〈k〉={0}〈k-1〉+{1}〈k-1+b〉x+{2}〈k-1+2b〉x^2+…+{n}〈k-1+nb〉x^n・・・①

だと分かります。

〈v〉×C(x)^a=〈v+a〉

となるような関数C(x)があるとするとき

①の左辺=〈k〉=〈k-1〉C(x)

①の右辺={0}〈k-1〉+{1}〈k-1〉(xC(x)^b)+{2}〈k-1〉(xC(x)^b)^2+…+{n}〈k-1〉(xC(x)^b)^n

なので、両辺を〈k-1〉で割ると

C(x)={0}+{1}(xC(x)^b)+{2}(xC(x)^b)^2+……+{n}(xC(x)^b)^n

となり、証明できました。

 

C(x)=F(xC(x)^b) となっているのが、シンプルで良いなと思います。

F(x)=2+x など、具体例を計算しても楽しいので、おすすめです。

 

お読みいただきありがとうございました。