(1-x^k)^(-1/2)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) ) を2乗すると
(1-x^k)^(-1)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) )^2
=(1-x)^(-1)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) ) になります。
この計算は (1-x)^(-1/2) の係数をk個並べた関数を2乗していると言えます。
係数を具体的に見てみると楽しいです。
[0]x^0+[1]x^1+[2]x^2+…+[m]x^m+…=《[0],[1],[2],…,[m],…》
というように《》内に係数だけ書く事にします。
(1-x)^(-1)=1+x+x^2+x^3+… なので
(1-x)^(-1)=《1,1,1,1,…》 です。
《》の表記でそれ以降に同じ数が続くときは、「々」と書く事にします。
つまり (1-x)^(-1)=《1,1,1,1,…》=《1,々》です。
2乗して《1,々》になる関数、つまり《1,々》^(1/2)=(1-x)^(-1/2) は
《1,1/2,3/8,5/16,…》です。
《1,1/2,3/8,5/16,…》の係数を2つ並べた関数
《1,1,1/2,1/2,3/8,3/8,5/16,5/16,…》を2乗すると
《1,2,2,2,2,2,…》=《1,2,々》になります。
係数を3つ並べた関数
《1,1,1,1/2,1/2,1/2,3/8,3/8,3/8,…》を2乗すると
《1,2,3,3,3,3,…》=《1,2,3,々》です。
一般に、係数をk個並べた関数を2乗すると
《1,2,3,4,…,k,k,k,…》=《1,2,3,4,…,k,々》
と、1からkまで自然数が並んだ後kがずっと続きます。
証明します。
(1-x)^(-1/2)の係数を2つ並べた関数《1,1,1/2,1/2,3/8,3/8,5/16,5/16,…》は
《1,1,1/2,1/2,3/8,3/8,5/16,5/16,…》=《1,0,1/2,0,3/8,0,5/16,0,…》×《1,1》
=(1-x^2)^(-1/2)×(1+x) と表せます。
これを2乗すると
(1-x^2)^(-1)×(1+x)^2=(1-x)^(-1)×(1+x)
=《1,々》×《1,1》
=《1,2,2,2,…》=《1,2,々》 となります。
同様に、k個並べた関数は
(1-x^k)^(-1/2)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) ) と表せます。
これを2乗すると
(1-x^k)^(-1)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) )^2=(1-x)^(-1)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) )
=《1,々》×《1,…(1がk個)…,1》
=《1,2,3,4,…,k,k,k,…》=《1,2,3,4,…,k,々》 となり、証明できました。
一般化した、
(1-x)^(-1/n)に対してのn乗についても、同様の事が言えます。
(1-x)^(-1/n) の係数をk個並べた関数
(1-x^k)^(-1/n)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) ) をn乗すると
(1-x^k)^(-1)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) )^n=(1-x)^(-1)×(1+x+x^2+…+x^(k-1) )^(n-1)
=《1,々》×《1,…(1がk個)…,1》^(n-1)
となります。
k=2のとき、つまり (1-x)^(-1/n) の係数を2個並べた関数のn乗は
《1,々》×《1,1》^(n-1)
=《1,々》×《(n-1)C0, (n-1)C1, (n-1)C2, …, (n-1)C(n-1)》
=《(n-1)C0, (n-1)C0+(n-1)C1, …, (n-1)C0+…+(n-1)C(n-1),々》
となり、(n-1)C0+…+(n-1)C(n-1)=2^(n-1) なので
n-1次以上のxの係数が全て 2^(n-1) だと分かります。
同様に、(1-x)^(-1/n) の係数をk個並べた関数のn乗も
(n-1)(k-1)次以上のxの係数が全て k^(n-1) になります。
具体例としてn=3 のときを書きます。
(1-x)^(-1/3)=《1,1/3,2/9,14/81,…》です。
《1,1/3,2/9,14/81,…》の係数を2つ並べた関数
《1,1,1/3,1/3,2/9,2/9,14/81,14/81,…》を3乗すると
《1,3,4,4,4,…》=《1,3,4,々》になります。
係数を3つ並べた関数
《1,1,1,1/3,1/3,1/3,2/9,2/9,2/9,14/81,14/81,14/81,…》を3乗すると
《1,3,6,8,9,9,9,…》=《1,3,6,8,9,々》になります。
以上です。
どこまで計算しても同じ数が出てくるのは、証明はシンプルですが不思議な感じがします。
お読みいただきありがとうございました。