明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

パスカルの三角形を筒状に丸める

パスカルの三角形は

11
121
13 3 1
1 4 6 4 1
1 5  10   10  5 1
1   6  15  20  15  6  1
1  7  21  35  35  21  7  1
1  8  28  56  70  56  28  8  1
1  9  36  84  126 126  84  36  9  1

 

このようなものです。これを左に揃えます。

1

1, 1

1, 2, 1

1, 3, 3, 1

1, 4, 6, 4, 1

1, 5, 10, 10, 5, 1

1, 6, 15, 20, 15, 6, 1

1, 7, 21, 35, 35, 21, 7, 1

1, 8, 28, 56, 70, 56, 28, 8, 1

1, 9, 36, 84, 126, 126, 84, 36, 9, 1

(見やすくするため数の間に,を付けました)

 

この左に揃えたものを筒状に丸め、同じ位置になった数を足し合わせたとき表れる数の組に、どんな規則性があるか考えました。

 

「左からm番目の数が左端の数と同じ場所に来るとき」を「q=m-1のとき」と書くことにします(qは正の整数)

例えばq=3のときは

1

1, 1

1, 2, 1

1+1, 3, 3

1+4, 4+1, 6

1+10, 5+5, 10+1

1+20+1, 6+15, 15+6

1+35+7, 7+35+1, 21+21

1+56+28, 8+70+8, 28+56+1

1+84+84+1, 9+126+36, 36+126+9

なので、足し算すると

1, 0, 0

1, 1, 0

1, 2, 1

2, 3, 3

5, 5, 6

11, 10, 11

22, 21, 21

43, 43, 42

85, 86, 85

170, 171, 171

となります。

 q=3のとき、各行の3つの数の内2つは同じ数で、残りの1つの数と他2つの数の差が1になると予想できます。

また、3つの数の内の同じでない数がある場所は、1つ下の行へいくと1つ左へ動いているようです。

(筒状つまり円のイメージなので、左端から1つ左へ動くと右端にいきます)

 

 実は、通常のパスカルの三角形が左右対称になっているように、筒状に丸めた場合でも、通常のパスカルの三角形で中央だった地点から見れば左右対称になっています。

上記のq=3での予想もこのことから示せます。

 

では、qがどんな値でも全ての行が左右対称になることを証明します。

 通常のパスカルの三角形で中央だった地点をcと書くことにします。

 

地点cには奇数行では数があり、偶数行では地点cは数と数の間なので、奇数行と偶数行で場合分けして考えます。

q個の点でq等分された円周の任意の点をcとして、(パスカルの三角形の)奇数行の数を点に置いていくと、cから見て左右対称に数が配置されます。

偶数行の場合は、任意の点と点の中間をcとして、偶数行の数を点に置いていくと、cから見て左右対称に数が配置されます。

元々のパスカルの三角形で地点cから見て左右対称だった配置が、再び地点cから見て左右対称に配置されているので、筒状に丸めたパスカルの三角形でも左右対称になることが示せました。

 

 

q=3での予想を証明しておきます。

「各行の3つの数の内2つは同じ数になる」ことは、奇数行では地点cの数の両隣が(左右対称なので)同じ数に、偶数行でも地点cの両隣が同じ数になることから分かります。

「同じでない残りの1つの数と他2つの数の差が1になる」ことは、n行目が (a+b), a, a ならばn+1行目が (2a+b), (2a+b), 2a となり差がbのまま変わらないこと、1行目での差が1であることから分かります。

「3つの数の内の同じでない数がある場所は、1つ下の行へいくと1つ左へ動いている」ことも、地点cが1つ下の行へいくと0.5右へ動く、つまり2つ下の行へいくと1つ右へ動くことと、「1つ右へ動く」と「2つ左へ動く」がq=3で同じ操作になることから分かります。

 

ちなみに、3以上のqでは、n行目とn+q行目で、等しくなる数の組の配置が同じになります。

q行下へいくと地点cはq/2右へいくので、円周上で考えると、n行目の地点c と n+q行目の地点c が丁度向かい合う場所になり、左右対称となる中心の線が同じものになるからです。

 

 

 また、パスカルの三角形においてn行目のn個の数の2乗和が2n-1行目の中央の数になるのと同じ様に、

筒状に丸めたパスカルの三角形でも、n行目のq個の数の2乗和は2n-1行目の中央の数になるようです。(証明はできていません)

例としてq=3で考えると

1^2+0^2+0^2=1

1^2+1^2+0^2=2

1^2+2^2+1^2=6

2^2+3^2+3^2=22

5^2+5^2+6^2=86

となり、q=3における2n-1行目の中央の数が現れています。

 

 

パスカルの三角形はk+1行目が(1+x)^kの係数になっていますが、

(1+x)の部分が(1+2x)や(1+x+x^2)など、他のxのn次式になっているパスカルの三角形を筒状に丸めたものも、これから考えたいです。

 

筒状に丸めたパスカルの三角形については、気になることがたくさんあって楽しいです。

以上です お読みいただきありがとうございました!