明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

ピタゴラス数のような行列

a,b,cを既約ピタゴラス数、つまり、

a^2+b^2=c^2となるような既約な自然数とします。

また、aを奇数、bを偶数とします。

 

A^2+B^2=C^2となるような二次正方行列A,B,Cを、ピタゴラス二次行列と呼ぶことにします。

ピタゴラス二次行列を、ピタゴラス数から作れることに気付きました。

 

a=2x+1

b=2y

c=2z+1

とするとき、

 

Aを、

(x      x+1)
(x+1  x    )

 

Bを、

(y      y  )
(y      y  )

 

Cを、

(z      z+1)
(z+1  z    )

 

とすると、これらがピタゴラス二次行列になるのです。

 

実際に計算し、真であることを確かめます。

A^2は

(2x^2+2x+1  2x^2+2x    )
(2x^2+2x      2x^2+2x+1)

B^2は

(2y^2            2y^2         )
(2y^2            2y^2         )

C^2は

(2z^2+2z+1  2z^2+2z    )
(2z^2+2z      2z^2+2z+1)

なので、A^2+B^2=C^2が真であるには、

2x^2+2x+1+2y^2=2z^2+2z+1……①

2x^2+2x+2y^2=2z^2+2z……②

のふたつが真であればよく、

a^2+b^2=c^2から、(2x+1)^2+(2y)^2=(2z+1)^2が分かり、これを展開し整理すると、

x^2+x+y^2=z^2+zとなるので、①②が真であることが分かり、A,B,Cがピタゴラス二次行列になることが確かめられました。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!

ピタゴラス数から2通りのやり方で同じ二平方和を作る

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

↑に貼った記事に書いた計算法で、

自然数a[1],b[1],c[1],a[2],b[2],c[2]が

a[1]^2+b[1]^2=c[1]^2

a[2]^2+b[2]^2=c[2]^2

を満たすピタゴラス数とするとき、平方数が現れるのでした。

 

a[1],a[2]を奇数、b[1],b[2]を偶数とし、既約なピタゴラス数のみを考えることにします。 

 

このやり方で現れる平方数と同じものが、違うやり方でも現れることに気付きました。

どのようなa[1],b[1],c[1],a[2],b[2],c[2]に対しても

a[1]a[2]+n^2

b[1]b[2]+n^2

c[1]c[2]-n^2

がすべて平方数となるようなnが存在し、また、

2a[1]b[2]+m^2

2b[1]a[2]+m^2

2c[1]c[2]-m^2

がすべて平方数となるようなmも存在するようで、ここで現れる平方数が上に貼った記事の計算で現れる平方数と一致するようなのです。

 

例を挙げます。

(a[1],b[1],c[1])=(3,4,5)

(a[2],b[2],c[2])=(5,12,13)

とするとき

「2組のピタゴラス数の積 その2」で書いた計算をすると、

a[1]a[2]+b[1]b[2]+c[1]c[2]=2×8^2

-a[1]a[2]+b[1]b[2]+c[1]c[2]=2×7^2

a[1]a[2]-b[1]b[2]+c[1]c[2]=2×4^2

-a[1]a[2]-b[1]b[2]+c[1]c[2]=2×1^2

 

a[1]b[2]+b[1]a[2]+c[1]c[2]=11^2

-a[1]b[2]+b[1]a[2]+c[1]c[2]=7^2

a[1]b[2]-b[1]a[2]+c[1]c[2]=9^2

-a[1]b[2]-b[1]a[2]+c[1]c[2]=3^2

 

となり、

今回書いた計算をすると(n=1,m=3です。)

a[1]a[2]+n^2=3×5+1^2=4^2

b[1]b[2]+n^2=4×12+1^2=7^2

c[1]c[2]-n^2=5×13-1^2=8^2

 

2a[1]b[2]+m^2=2×3×12+3^2=9^2

2b[1]a[2]+m^2=2×4×5+3^2=7^2

2c[1]c[2]-m^2=2×5×13-3^2=11^2

 

と、現れる平方数が一致します。

 

ちなみに、これらの平方数には、

1^2+8^2=4^2+7^2=65=5×13=c[1]×c[2]

3^2+11^2=7^2+9^2=130=2×5×13=2×c[1]×c[2]

というような関係性があります。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!

mod pのパスカルの三角形で、全ての整数が一度ずつ現れる行のあるもの

pを奇素数とし、

nを2n+1=pとなるような自然数とする

 

mod pにおいて、nと(n+1)をふたつ隣りに並べたものを頂点とするようなパスカルの三角形を計算すると、全ての整数が一度ずつ現れる行が出てくるようだと思いました。証明はできていません。

 

例を挙げます

mod 5のとき、nは2、(n+1)は3なので

 
23
203
2233
24013

 

となり、確かに0,1,2,3,4すべての数が一つの行のなかに一度ずつ現れました

 

mod 7のときも同様に

 

34
304
3344
36014
326154
3510624

となります

 

以上です! 有名かもしれませんが、面白いなぁと思いました

お読みいただきありがとうございました!

新しい和と積でできる行列の体

通常でない和と積を定義して行列の体を作ることができるようなので投稿します。

 

まず、この記事で定義する和を巻和、積を巻積と呼ぶことにします。ネーミングに特に深い意味はないです。区別をしたほうが分かりやすいと思ったので名付けました。

 

これから二次正方行列の場合を見ていきます。

さて、

(a b)
(c d)

(x y)
(z w)

の巻和を

(a+x+1 b+y+1)
(c+z+1 d+w+1)

と定義し、

 

(a b)
(c d)

(x y)
(z w)

の巻積を

(ax+a+x+bz+b+z+1    ay+a+y+bw+b+w+1)
(cx+c+x+dz+d+z+1    cy+c+y+dw+d+w+1)

 

と定義します。

 

すると、うまく元を選べば、mod p(pは素数)において巻和・巻積で体を作れるようです。

 

例をあげます。

mod 3において、

(2 2)
(2 2)

 

(0 2)
(2 0)

 

(1 0)
(0 2)

 

(1 1)
(1 0)

 

(2 1)
(1 1)

 

(1 2)
(2 1)

 

(0 1)
(1 2)

 

(0 0)
(0 1)

 

(2 0)
(0 0)

 

という9個の行列を元にもつ集合は、巻和・巻積に関して体になります。

(2 2)
(2 2)

が加法の単位元

(0 2)
(2 0)

が乗法の単位元です。

 

 また、「mod pにおける行列の体と無理数による体をフィボナッチでつなげる」という記事で書いたような、この体に対応するフィボナッチ数列のようなものがあることにも気付きました。

F[n]+F[n+1]+1=F[n+2]

というような数列です。

 

実際に、

(2 0)
(0 0)

という、上で書いた行列の体の元がこの数列に対応しています。

 

(2 0)(F[n]    )
(0 0)(F[n+1])

を計算(ここでの積は巻積)すると、

(F[n+1])
(F[n+2])

となるのです。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!

行列式を変えない操作

↓この記事の続きです。

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

↑に貼った記事では、右!操作、左!操作というものを考えましたが、上!操作、下!操作というものもできることに気付きました。

 

要領は右!操作、左!操作のときと同じで、

(a b)
(c d)

という行列を、

(a+c b+d)
(c     d    )

という行列に変える操作を上!操作、

(a b)
(c d)

という行列を、

(a     b    )
(a+c b+d)

という行列に変える操作を下!操作と呼ぶことにしたというだけです。

 

右!操作、左!操作、上!操作、下!操作、いずれも行列式を変えません。

 

さて、

X!操作を右!操作、左!操作、上!操作、下!操作を任意の回数合成したものとし、

X!操作のなかの上!操作、下!操作を順番を変えずに取り出したものをY!操作、

X!操作のなかの右!操作、左!操作を順番を変えずに取り出したものをZ!操作とするとき、

任意の二次正方行列AにX!操作をするとBという行列になり、

単位行列Y!操作をするとJという行列に、単位行列Z!操作をするとKという行列になるならば、

J×A×K=B

となっているだろうと予想しました。

 

具体例を挙げます。

X!操作を上!右!上!左!左!操作とし、

行列Aを

(1  2)
(-1 4)

とします。

AにX!操作をしてできる行列Bは、

(17  9)
(5    3)

という行列です。

定義より、

Y!操作は上!上!操作、

Z!操作は右!左!左!操作なので、

行列Jは、

(1 2)
(0 1)

という行列に、

行列Kは

(3 1)
(2 1)

という行列になります。

 

このとき、

J×A×K=Bという式、つまり、

(1 2)(1  2)(3 1)      (17 9)
(0 1)(-1 4)(2 1) =   (5   3)

という式は確かに成立しています。

 

 

以上です!かなり面白いなぁと思います。みなさんはどう思いますか?

お読みいただきありがとうございました!

 

 

ファレイ数列の行列の性質

↓この記事を読んでからのほうが分かりやすいかもしれません。

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

二次正方行列を

(a c)
(b d)

というように書くことにする。

 

a,b,dを自然数、cを0以上の整数、a≦b、c<d、ad-bc=1とするとき、

a/bとc/dはいずれかのファレイ数列で隣り合っています。

(a c)
(b d)

を、ファレイ行列と呼ぶことにします。

 

 

ファレイ数列についてはwikiを見て下さい↓ 

ファレイ数列 - Wikipedia

 

 

さて、ここからが書きたかったことです。

二次正方行列の1行1列目の値を1行2列目に足し、

2行1列目の値を2行2列目に足す操作を右!操作と呼ぶことに、

1行2列目の値を1行1列目に足し、

2行2列目の値を2行1列目に足す操作を左!操作と呼ぶことにします。

(a c)
(b d)

右!操作をすると、

(a a+c)
(b b+d)
となり、この行列に更に左!操作をすると、

(2a+c a+c)
(2b+d b+d)
となります。またこのふたつの操作を合成して、

(a c)
(b d)

右!左!操作をすると

(2a+c a+c)
(2b+d b+d)

ができる、と書くことにします。

 

 ファレイ行列に右!操作をしても、左!操作をしてもファレイ行列のままです。

 

 さて、X!操作を、任意の右!操作と左!操作を合成した操作とします。

 

(1 0)
(0 1)
という単位行列X!操作をすると

(a c)
(b d)

というファレイ行列になるとき、

(a c)(a c)
(b d)(b d)

というふたつの同じファレイ行列の積は、

(a c)
(b d)
X!操作をしたものと等しくなるだろうと予想しました。

 

例をみてみましょう。

(2 1)
(3 2)

というファレイ行列は、単位行列左!右!左!操作をすると得られます。

 

(2 1)(2 1)
(3 2)(3 2)

は、

(7    4)
(12  7)

という行列になりますが、これは、

(2 1)
(3 2)

左!右!左!操作をすることでも得られます。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!

mod pにおける行列の体と無理数による体をフィボナッチでつなげる

↓この記事を読んでからのほうが分かりやすいかもしれません。

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

二次正方行列を

(x y)
(z w)

というように書くことにします。

 

pを素数とします。

mod pにおいて、

aF[n]+bF[n+1]=F[n+2]となっているF[n]の、一番長いループの長さと、

(0 1)
(a b)の位数の長さが一致するようです。

 

なぜなら、

(0 1)             (0 1)^k
(a b)のk乗を(a b)     と書くことにし、

 

(x)
(y)を縦ベクトルとするとき、

 

(0 1)^k   (F[n]    )   (F[n+k]   )
(a b)   ×(F[n+1])=(F[n+k+1])

となっていて、

(F[n]    )     (F[n+k]   )

(F[n+1]) = (F[n+k+1])

 つまり、F[n]=F[n+k],F[n+1]=F[n+k+1]となるのは、F[n]のループの長さの値なので、

kがF[n]のループの長さの値になるとき、

(0 1)^k
(a b)   が単位行列になることが分かり、

aF[n]+bF[n+1]=F[n+2]を満たすF[n]の、一番長いループの長さと

(0 1)
(a b)の位数の長さが一致することが分かりました。

 

さて、上に貼った記事に書いたように、

aF[n]+bF[n+1]=F[n+2]となっているF[n]のループの長さと、

a+bx=x^2を満たすxの位数が一致すると前に予想しました。

 

この予想と、今回言ったことを合わせて考えて、

a+bx=x^2を満たすxの位数と、

(0 1)
(a b)の位数の長さが一致するのではないかと思いました。(ただしa≠0)

 

a+bx=x^2を満たすxの位数がp^2-1のとき、xを生成元とする乗法群に0を加えた集合が体になるのと、

(0 1)                                     
(a b)の位数がp^2-1になるとき、

(0 1)                                     
(a b)を生成元とする乗法群に零行列を加えた集合が体になることが対応しているのではないかと思いました。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!

パスカルの三角形の行列とフィボナッチ

二次正方行列を

(a b)
(c d)

というように書くことにします。三次以上の行列も同様に書くことにします。

 

(0 1)
(1 1)

や、

(0 0 1)
(0 1 1)
(1 2 1)

や、

(0 0 0 1)
(0 0 1 1)
(0 1 2 1)
(1 3 3 1)
というような、パスカルの三角形のような数の並びをもつ正方行列と、フィボナッチ数列につながりがあることに気付きました。

 

F[n]を、

F[0]=0,F[1]=1,F[n]+F[n+1]=F[n+2]

と定義します。要するにF[n]はフィボナッチ数列です。

縦ベクトル

(F[n]    )
(F[n+1])

と、パスカルの三角形の二次正方行列の積をとると、

 

(0 1)   (F[n]    )   (F[n+1]         )    (F[n+1])
(1 1)×(F[n+1])=(F[n]+F[n+1])= (F[n+2])

 

となるのです。

(0 1)      (0 1)^k
(1 1)のk 乗を(1 1)   と書くことにすると、

 

(0 1)^k     (F[n]    )    (F[n+k]    )
(1 1)     ×(F[n+1])= (F[n+k+1])

となります。

 

パスカルの三角形の3次正方行列でも同様に、

(0 0 1)   (F[n]    )   (F[n+2])
(0 1 1)   (F[n+1])   (F[n+3])
(1 2 1)×(F[n+2])=(F[n+4])

となっています。

一般に、パスカルの三角形のm次正方行列でも同様のことが言えるだろうと思っています。

 

このように言えることと、パスカルの三角形の数を斜めに足していったらフィボナッチ数が表れる(このことについては下の記事を見て下さい)ことに、つながりがあるように思えます。

mizumiya-umi.hatenablog.com

 

これを一般化して、

パスカルの三角形のように数を並べたもので、数を斜めに足していったら

G[0]=0,G[1]=1,aG[n]+bG[n+1]=G[n+2]

という数列が表れるようなものを行列にしたものとG[n]を要素に持つベクトルとの積が、上で言ったような性質を持っているのではないかと思いました。

 

実際に

a   b
a^2 2ab b^2
a^3 3a^2b 3ab^2 b^3
a^4 4a^3b 6a^2b^2 4ab^3 b^4

 

という三角形から作った行列は、そのような性質を持っているようです。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!

mod pにおける行列の体

二次正方行列を

(a b)
(c d)

という形で書くことにする

 

mod 5において、

(0 0)  (1 3)  (3 4)  (4 2)  (2 1)
(0 0)  (4 2)  (2 1)  (1 3)  (3 4)

という5個の正方行列の集合は、

(0 0)
(0 0)を加法の単位元

(2 1)
(3 4)を乗法の単位元とする体になることに気付きました。

 

mod 7の場合でも

(0 0)  (4 1)  (5 3)  (1 2)  (3 6)  (2 4)  (6 5)
(0 0)  (2 4)  (6 5)  (4 1)  (5 3)  (1 2)  (3 6)

という7個の行列の集合が、

(0 0)
(0 0)を加法の単位元

(4 1)
(2 4)を乗法の単位元とする体になります。

 

一般化して、aを0,1でない整数とすると、

(1     a    )
(a^2  a^3)

という形で表せる行列を元に持つ体が、どのmod pの場合にもあったらいいなぁと思います。

以上です!お読みいただきありがとうございました!

 

フィボナッチと分数

nを自然数とする。

数列F[n]を、

F[0]=0,F[1]=1,F[n-1]+F[n]=F[n+1]

と定義する。つまりF[n]はフィボナッチ数列です。

 

互いに素な自然数a,bを、

F[n-1]/F[n]+F[n]/F[n+1]=a/b

と定義するとき、

a+b=F[2n+1]

a-b=(F[n-1])^2

となっていると予想しました。

 

例としてn=3のときを考えると、

F[2]=1,F[3]=2,F[4]=3より、

F[2]/F[3]+F[3]/F[4]=1/2+2/3=7/6

となることから、a=7,b=6が分かり、

a+b=13=F[7]

a-b=1=1^2=(F[2])^2

と、確かにこの例の場合は成り立っていることが分かりました。

 

また、分母と分子を逆にしたものでも、同様のことが言えるようです。

互いに素な自然数c,dを

F[n]/F[n-1]+F[n+1]/F[n]=c/d

と定義するとき、

c+d=(F[n+1])^2

c-d=F[2n-1]

となっているようなのです。

 

例としてn=4のときを考えると、

F[3]=2,F[4]=3,F[5]=5より、

F[4]/F[3]+F[5]/F[4]=3/2+5/3=19/6

となることから、c=19,d=6

が分かり、

c+d=25=5^2=(F[5])^2

c-d=13=F[7]

と、確かにこの例の場合は成り立っていることが分かりました。

 

一般フィボナッチ数列の場合にも似たようなものをひとつだけ見つけました。

j,kを自然数とする

数列G[n]を

G[0]=0,G[1]=1,j×G[n-1]+k×G[n]=G[n+1]

と定義する。

互いに素な自然数e,fを

G[n-1]/G[n]+G[n]/G[n+1]=e/f

と定義するとき、

j×e+k×f=G[2n+1]

となっているようなのです。

 

j=3,k=2,n=2の場合の例を見ていきます。

このとき、G[1]=1,G[2]=2,G[3]=7,G[4]=20,G[5]=61です。

G[1]/G[2]+G[2]/G[3]=1/2+2/7=11/14

なので、e=11,f=14であることが分かり、

j×e+k×f=3×11+2×14=33+28=61=G[5]

となり、この例の場合では真であることが確かめられました。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!