以前の記事「数列の環」を踏まえて体を考えました
nを整数とします
n項目をa[n]とした数列A{…,a[-2],a[-1],a[0],a[1],a[2],…}
n項目をb[n]とした数列B{…,b[-2],b[-1],b[0],b[1],b[2],…}
の和A+Bを
{…,a[-2]+b[-2],a[-1]+b[-1],a[0]+b[0],a[1]+b[1],a[2]+b[2],…}
と同じ項同士を足したものと定義し
積ABを、AとBの項の番の和がmになるものの積を、足し合わせたものをm項目に置いたものと定義します
具体的には、積ABの0項目は
…+a[-2]b[2]+a[-1]b[1]+a[0]b[0]+a[1]b[-1]+a[2]b[-2]+…
となり、積ABの1項目は
…+a[-2]b[3]+a[-1]b[2]+a[0]b[1]+a[1]b[0]+a[2]b[-1]+…
となります。
さて、有理数などの体を成す集合から項をとるとき
このような数列の集合は体になります
加法の単位元は、すべての項が0の数列で
乗法の単位元は、0項目が1、それ以外の項が0の数列です
数列{…,a[-2],a[-1],a[0],a[1],a[2],…}を
……
a[-2]
a[-1]
a[0] a[1] a[2] ……
というように正の数の項を右の方へ、負の数の項を上の方へ配置し、
a[n]の右斜め上の位置のものを、a[n]の位置にずらしてa[n]へ足してよいことにすると、積がすっきりした形で書けます。
例えば数列{a[-1],a[0],a[1]}と数列{b[-1],b[0],b[1]}の積は、
最初の定義から
{a[-1]b[-1] ,a[-1]b[0]+a[0]b[-1] ,a[-1]b[1]+a[0]b[0]+a[1]b[-1] ,a[1]b[0]+a[0]b[1] ,a[1]b[1]}
と分かりますが、
a[-1]
a[0] a[1]
と
b[-1]
b[0] b[1]
の積として考えると、
a[-1]
a[0] a[1]
をb[0]倍したものと、右へ1つ移動させてb[1]倍したものと、上へ1つ移動させてb[-1]倍したものの和をとると考えることができます
a[-1]b[-1]
a[-1]b[0]+a[0]b[-1] a[-1]b[1]+a[1]b[-1]
a[0]b[0] a[1]b[0]+a[0]b[1] a[1]b[1]
また、a[n+1]=10a[n]とし、
数列Aの各項を0以上9以下の整数からとるとき、
数列Aは、n項目が10^nの位で-n項目が小数点第n位の、10進数表記された正の実数と同一視できます
負数番目の項を、左ではなく、上へ配置すると見やすくなるのが良いなぁと思います
以上です、お読みいただきありがとうございました!