「ピタゴラス数と倍数」の続きです。
前回はピタゴラス数の三つ組a,b,cに対してah+bi=cjを満たす自然数h,i,jについて考えていました。
h+i+j=cとなっているようなh,i,jがどのようなピタゴラス数の三つ組a,b,cに対しても必ず存在することを証明できたので投稿します。
更に条件をつけて、i+j=a,h+j=bともなっているh,i,jが存在することを示します。
h+i+j=c,i+j=a,h+j=bをh,i,jの連立方程式として解くと、
h=c-a,i=c-b,j=a+b-cとなります。
これをah+bi=cjに代入すると
a(c-a)+b(c-b)=c(a+b-c)
となり、a^2+b^2=c^2(a,b,cがピタゴラス数であることから)であることも考慮して考えると、この式は恒等式です。
証明終わり
数の三つ組(x,y,z)から三つ組(z-x,z-y,x+y-z)を作る操作をピタゴラス操作と呼ぶことにします。
上に書いた文字で言うと、a,b,cにピタゴラス操作をするとh,i,jが現れました。
実は、h,i,jにピタゴラス操作をすると、ピタゴラス数の三つ組が現れます。
つまり(j-h,j-i,h+i-j)はピタゴラス数の三つ組になります。
このことから、ピタゴラス数の三つ組に、二度ピタゴラス操作をすると新たなピタゴラスの三つ組が現れることが分かります。
証明をします。
h=c-a,i=c-b,j=a+b-cから、(j-h,j-i,h+i-j)は(2a+b-2c,a+2b-2c,3c-2a-2b)と書けます。
(2a+b-2c)^2+(a+2b-2c)^2=(3c-2a-2b)^2が示せれば証明完了です。
2a+2b-2c=dとおくと、
(d-b)^2+(d-a)^2=(d-c)^2
と書けます。
計算すると、
2d^2-2d(a+b)+a^2+b^2=d^2-2dc+c^2となり、a^2+b^2=c^2を代入し整理すると、
d-2(a+b)=-2c
つまり、
d=2a+2b-2cというdの定義が現れ、恒等式であることが分かりました。
証明終わり
ピタゴラス操作を使って無限に新しいピタゴラス数を見つけ続けていけたらいいなぁとか思いますが、計算が大変なのでまだ可能かどうか分からないです。
ピタゴラス操作を二度行って新たなピタゴラス数を作る計算を簡単に書くと、
(a,b,c)というピタゴラス数の三つ組に対して、t=2(a+b-c)とすると、
(t-a,t-b,t-c)はピタゴラス数の三つ組になる、と書けます。
ただし、負になったときは絶対値をとってください。
以上です!お読みいただきありがとうございました!