まず分数の和を書きます。
a,cを0でない実数、b,dを実数とするとき、
b/a+d/c=(ad+bc)/ac
となっています。
この演算と同じ結果が出るような行列を見つけました。
二次正方行列Xを
(a b)
(0 a)
とし、
二次正方行列Yを
(c d)
(0 c)
とするとき、
行列の積X×Y及びY×Xは
(ac ad+bc)
(0 ac)
となり、これは上に書いた分数の和と現れる値が一致します。
このような行列の積を分数の和と同一視するためには、分数の通分しても値が変わらない性質を行列にも与えなければなりません。
なので、nを0でない実数とするとき、
(na nb)
(0 na)
という形で書ける全ての行列を、
(a b)
(0 a)
と同一視することにします。
このように同一視したものを、行列の実数倍を同一視したものと呼ぶことにします。
さて、有理数、及び実数や複素数の集合は、和に関して群になっています。
なので、aを0でない実数、bを実数とするとき、
(a b)
(0 a)
という形で表せる行列の集合の、行列の実数倍を同一視したものが積に関して群になることが分かりました。
また、行列の実数倍を同一視せずに、
(a b)
(0 a)
という形で表せる行列(ただしa≠0)の集合に零行列を加えたものが、通常の和と積に関して体になっているだろう、なっていたらいいなと思っていますが、自信はありません。
ちなみに、分数と整数の積を行列のべき乗と同一視できることにも気付きました。
aを0でない実数、bを実数、nを整数とするとき
(b/a)×n
と、
(a b)^n
(0 a)
を同一視できるのです。もちろん、これは行列の実数倍を同一視したうえでですが。
以上です!お読みいただきありがとうございました!