明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

新しい和と積でできる行列の体

通常でない和と積を定義して行列の体を作ることができるようなので投稿します。

 

まず、この記事で定義する和を巻和、積を巻積と呼ぶことにします。ネーミングに特に深い意味はないです。区別をしたほうが分かりやすいと思ったので名付けました。

 

これから二次正方行列の場合を見ていきます。

さて、

(a b)
(c d)

(x y)
(z w)

の巻和を

(a+x+1 b+y+1)
(c+z+1 d+w+1)

と定義し、

 

(a b)
(c d)

(x y)
(z w)

の巻積を

(ax+a+x+bz+b+z+1    ay+a+y+bw+b+w+1)
(cx+c+x+dz+d+z+1    cy+c+y+dw+d+w+1)

 

と定義します。

 

すると、うまく元を選べば、mod p(pは素数)において巻和・巻積で体を作れるようです。

 

例をあげます。

mod 3において、

(2 2)
(2 2)

 

(0 2)
(2 0)

 

(1 0)
(0 2)

 

(1 1)
(1 0)

 

(2 1)
(1 1)

 

(1 2)
(2 1)

 

(0 1)
(1 2)

 

(0 0)
(0 1)

 

(2 0)
(0 0)

 

という9個の行列を元にもつ集合は、巻和・巻積に関して体になります。

(2 2)
(2 2)

が加法の単位元

(0 2)
(2 0)

が乗法の単位元です。

 

 また、「mod pにおける行列の体と無理数による体をフィボナッチでつなげる」という記事で書いたような、この体に対応するフィボナッチ数列のようなものがあることにも気付きました。

F[n]+F[n+1]+1=F[n+2]

というような数列です。

 

実際に、

(2 0)
(0 0)

という、上で書いた行列の体の元がこの数列に対応しています。

 

(2 0)(F[n]    )
(0 0)(F[n+1])

を計算(ここでの積は巻積)すると、

(F[n+1])
(F[n+2])

となるのです。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!