明るい夜のまばたき

数が降る街

数学で考えたことを書いています

mod pのもうひとつの体

pを素数とします。

m乗するとxになる数を、(m)√(x)という表記で書くことにします。

nを(p-1)と互いに素な整数の定数とします。

演算◇を、a◇b=(n)√(a^n+b^n)と定義するとき、

mod pにおける{0,1,2,……,p-1}という集合は、演算◇に関して位数pの巡回群になります。

 

具体例で、巡回群であることの証明のしかたを書きます。

p=5,n=3のとき、つまり、mod 5における演算a◇b=(3)√(a^3+b^3)を見てみます。

 

この先すべての等式はmod 5であるとします。

まず、

a◇0=(3)√(a^3)=a,0◇a=(3)√(a^3)=aなので、0が単位元です。

 

逆元があることの証明は、

どんなaにもa◇b=0となるようなbが存在することが示せればよく、

それはつまりa^3=-b^3ということなので、存在します。

 

次に結合法則が成立していることを確認します。

(a◇b)◇c=(3)√(a^3+b^3)◇c=(3)√(a^3+b^3+c^3)

a◇(b◇c)=a◇(3)√(b^3+c^3)=(3)√(a^3+b^3+c^3)

となるので、

(a◇b)◇c=a◇(b◇c)であることが分かり、結合法則が確かめられました。

よって群になります。

 

次に巡回群になることを見ていきます。

任意の0でない元aを演算◇でつなげていくとき、

aをp個つなげないと0にならないことが示せたら示せます。

実は

a◇a=(3)√(2)×a

a◇a◇a=(3)√(3)×a

というように、aを演算◇でk個つないだものは(3)√(k)×aとなるのです。

このことから、aをp個つなげないと0にならないことが分かります。

 

一般の場合も同様にして、巡回群であることが示せます。

 

また、演算◇を加法、通常のかけ算を乗法とすると、この集合は体になります。

分配法則だけ見てみます。

(a◇b)×c=(3)√(a^3+b^3)×c

(ac)◇(bc)=(3)√((ac)^3+(bc)^3)=(3)√(a^3+b^3)×c

より、分配法則が確かめられました。

 

以上です!お読みいただきありがとうございました!