正の実数は、実数乗しても正の実数です。このことは指数関数を見れば明らかです。
単位円上の複素数(単位円の複素数とは、a,bを実数とするとき、a^2+b^2=1となっているようなa+biのこと)は、実数乗しても単位円上の複素数です。単位円上の複素数を実数乗すると、数は単位円上をくるくる回ります。
実数乗してももとの集合と要素が変わらないという意味で、正の実数の集合と単位円上の数の集合は似ています。
では、純虚数乗するとどうなるでしょうか。(純虚数とは、bを実数とするときbiと書くことのできる複素数のことです。実部のない複素数とも言えます)
結論から言うと、正の実数を純虚数乗すると単位円上の数に、単位円上の数を純虚数乗すると正の実数になります。
正の実数と単位円上の数は純虚数乗するという計算において裏と表の関係になっているのです。
では、なぜ裏と表の関係になっているのかを説明します。
まず、正の実数を純虚数乗すると単位円上の数になることを示します。
具体例として、2のi乗、つまり2^iが単位円上の数になる様子を見ていきます。
e^(πi)=-1(オイラーの等式)、つまり(e^π)^i=-1なので、i乗が-1になるような正の実数が存在することがわかります。
y=2^xのグラフを考えれば分かるように、xを実数の範囲で動かすと2^xはすべての正の実数をとります
つまり2^x=e^πとなるような実数xが存在します。
なので、そのようなxをnとおくと(つまり2^n=e^πとしたということ)、
e^πi=-1から、2^(ni)=-1となります。
両辺のn乗根をとると、2^i=(-1)^(1/n)となり、2^iはn乗すると-1になる数であることが分かりました。
このことから、実数乗して-1になる数は単位円上にある数なので、2^iが単位円上にある数であることが分かりました。
同様にして、正の実数を虚数乗すると単位円上にある数になることが分かります。
正の実数の純虚数乗に関しても、純虚数乗するということは結局は実数乗したあと虚数乗するということなので、結局正の実数の虚数乗と考えることができ、単位円上の数になります。
では最後に、単位円上の数を純虚数乗すると正の実数になることを示します。
上に書いたように、単位円上の数は正の実数の虚数乗で書くことができます。
正の実数の虚数乗の純虚数乗が正の実数になることを示せばいいのです。
任意の正の実数の虚数乗をa^iと書き、これをbi乗(つまり純虚数乗)すると、a^(-b)になります。これは明らかに正の実数です。
なので、正の実数と単位円上の数は純虚数乗するという計算において裏と表の関係になっていることが分かりました。
以上です。お読みいただきありがとうございました!